第十九回 復活
Resurrectio
キリスト教の根本命題は「イエス・キリストは復活した」である。 ■ 旧約聖書 預言者が行ったしるし(奇跡)としての死者の復活は、預言者の力によってではなく、神さまがそれを望まれたから実現した。たとえば、エリヤによるやもめの子どもの復活(列王記上17章17〜23節)やエリシャによる子どもの復活(列王記下4章16〜37節)などである。ただし、これら個別のしるしは「この世の命のとりもどし」すなわち、ふたたび終わる命への復活である。 これに対し、「復活の永遠の命」という思想はまったく新しい意味を持っている。この世での神さまとの関係が「新しい命に」影響していくという考え方である。たとえば、マカバイ時代の殉教者の物語は(マカバイ記二7章)、「永遠の新しいいのちへのよみがえり」をはっきり記しており、同時代の「死者のための祈り」(マカバイ記二12章38〜45節)も「死者の復活」を前提としたものである。 とはいえ、イエス時代にあっても死者の復活を認めない立場をとるものもあった。新約聖書で「サドカイ派」とよばれ、イエスと復活についての論争を展開している(マタイによる福音22章23〜33節)。 ■ 新約聖書 ■ 典礼で表現される復活のイエス
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