年間第13主日

マタイによる福音 10・37〜42
2005年 6月26日


十字架=苦しみ=困難
童話作家アンデルセンの生涯はとても貧しかったのです。
子供の時はベットがなくてお金持ちが捨てていたベットの板を道で拾ってきて使ったそうです。11歳の時には父親さえも亡くし、学校もやめて工場通いをしながら家族の面倒を見なくてはなりませんでした。そんな暮らしを続けながら14歳になったある日、彼は有名な人になると言ってカバン一つだけを手にコペンハーゲンへ向かいます。
アンデルセンが40歳になるまで貧しさは彼の運命のように付きまといました。彼は貧しさばかりではなく醜い外見のために失恋を何度も繰り返し71歳で亡くなるまで生涯未婚のまま過ごしました。
彼の失恋は彼の劣等感へと追い込みました。
愛する恋人に温かい持て成しを一度すらまともに受けたことのない彼が、どうして美しい童話「人魚姫」を書くことができたのでしょうか?
また、「みにくいアヒルの子」や「マッチ売りの少女」のような人の胸を打つ童話が書けたのでしょうか?
彼は自分の苦しみによって童話を作ったのです。貧しさの苦しみから「マッチ売りの少女」が生まれ、醜い外見のせいで生じた劣等感が「みにくいアヒルの子」を書かせたのです。また失恋の苦しみの中から、「人魚姫」が生まれたのです。彼は自分の苦しみによって、もっと素晴らしいものを創造したわけです。

貧しいからと言って、皆が童話を書くわけではありません。貧しさゆえに、他人の物を盗んだり、悪いことをする人もいます。失恋の痛みに耐えられずに自殺する少年もいるし、失恋の苦しみゆえに自分を捨てた相手に苦しみを与える人もいます。
このように苦しみは多くの人を破滅へと導きます。ゆえに人々は苦しみを恐れます。しかし、アンデルセンは苦しみに倒れず、苦しみによって花を咲かせました。

私たちは大小様々な困難を抱えて暮らしています。時には耐え切れないような苦しみを経験することもあります。あまりにも辛くて主に不平不満を言い、泣きわめくこともあります。
神様は私たちが苦しみに倒れず、苦しみによって美しい花を咲かせるのを待っておられます。神様は私たちの頼もしい支援者です。
ですから、実を結ぶことは決して不可能ではないのです。

アーメン

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