第二回 マタイによる降誕物語
教会暦 12月25日 ノエル…冬至(以後昼が長くなる)を比喩的にとらえたキリスト降誕祭。(誕生日ではない)
マタイによる降誕物語(1〜2章) ■ 養父ヨセフ
百合の花や杖で純潔と聖家族の保護者を象徴する。聖母(ラ・ヴィエルジュ)と呼応。 ■ マギの訪問
教会暦ではご公現(エピファニー)。はじめてイエスが救い主として公に礼拝されたことの記念。ベトレヘムの降誕記念聖堂がペルシア時代に破壊を免れたのは、ペルシア人の姿で3人が描かれていたためという。黄金・乳香・没薬はそれぞれ、キリストの王たること・キリストの神たること・キリストが人類のために死すことを意味する。三人は伝統的に白・黒・黄色人種、すなわちすべての人間を象徴すると解釈される。東方からの来訪という故事から、アジア宣教を任務とするパリ・ミッション会の聖堂正面に大きく描かれている。 ■ エジプト避難
この出来事は、旧約のイスラエルの歴史を象徴し、特に出エジプト物語を想起させる。ロバに乗る聖母子とその手綱を引く聖ヨゼフの姿は多く絵画や彫刻に見られる。聖地には、旅の途中、聖母が幼子イエスに授乳したといわれる場所を記念してミルク・グロットと呼ばれる聖堂がある。 ■ 幼子虐殺
教会暦ではノエルの直後(12月28日)に幼子殉教者として記念される。伝承によれば、幼洗礼者ヨハネは巨石の陰に隠されて難を逃れた。 ■ ナザレ帰郷
「ナザレのイエス」という呼称は、一般的な名前である「イエス」(旧約のヨシュア)と「イエス・キリスト」を区別する。十字架像にしばしば見られる INRI という記号は「ユダヤ人の王、ナザレのイエス」の略である。
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