|
「Veronique」(Federico
Zuccari 16-17世紀、ローマ |
■ 歴史…イエスの歩いた十字架の道をたどる信心は、教会の歴史の中で早い時期から何らかの形で存在したであろう。313年のコンスタンチヌス皇帝によるキリスト教公認後、聖地を訪問するキリスト者の増加にともない、聖週間を聖地で過ごそうとする信仰者も数を増していく。受難の追体験である。現在の十字架の道行きの信心は、14世紀以来聖地の管理を委ねられているフランシスコ会が考案し、普及させたと言われている。エルサレムで実際にイエスの歩いた道をたどる「道行き」は、聖地まで行くことの出来ない大多数のキリスト者にとっては与りえない信心であったから、信仰者が自分の今居る場所でもそれぞれ「道行」をたどることが出来るように、絵画や十字架、聖像などが用いられるようになった。元来は自由にイエスの受難を黙想するものであったが、18世紀、クレメンス12世教皇のころ現在見られる14留に定まったらしい。こうして各「留」(statio)毎に黙想と祈りを捧げるようになった。