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第十二回  聖年  Jubile    回心のとき  

■ 聖書…レビ記25章に「ヨベルの年」(ヨベルとは雄羊の角の意)と呼ばれる解放の年の記述があり、7年毎の安息年が7回めぐったとき、土地の安息・負債の免除・奴隷状態からの解放が宣言されるよう定められている。この世のものは神からの預かり物であり、人はこの世に寄留するものであるという理解による。ヨベルの年は万物の創造とエジプトからの解放を想起させる。

■ 歴史…現在の聖年の制度は、1300年教皇ボニファチオVIII世によってさだめられた。25年毎に設けられ、ヨベルの年の精神をキリスト教的理解に基づいて実践するものである。すなわち、すべては神からの預かり物であることを思い起こして、愛を実行すること(ルカ10章25〜37節参照)、社会正義の実現(すべての人間の解放)、回心(罪のゆるしを受け、悪の奴隷状態から解放されること)を目指す。またラテン語のjubilare(祝う)との連想から、50周年の慶事を金祝、その半分の25周年を銀祝とする習慣も生まれた。

■ 回心…「人の子は仕えられるためではなく仕えるために、また、多くの人の身代金として自分の命を献げるために来た。」(マルコ10章45節及び並行箇所)。罪の奴隷状態にある人間を解放したのはキリストの命であることを思い出すことは、解放の年である聖年の意味を理解する上で重要である。改めてキリストを思いだし、その生き方に倣うように呼びかけるのが聖年であるともいえる。回心は自分の命を神さまに向けなおすということであるから、具体的には「ゆるしの秘跡」(和解すること)・「ミサ」(キリストによる解放)・「巡礼」(神さまへの歩みの象徴)を大切にするよう勧められる。回心はまた共同体にひろがるもので、和解・協働・連帯の意識につながっていく。自分が解放されると共に、自分も他人を解放すること、それを通して神さまの救いの業を祝い感謝することなど広く意味付けられる。

■ 免償…免償とは、ゆるしの秘跡によって赦された罪に対する償いを免除するもので、教会を通して与えられる神さまの恵みである。大聖年には通常の方法のほかに、教会によって定められた巡礼地(※パリ教区について以下参照)で、ゆるしの秘跡を受けた状態でミサに与って聖体を拝領し、教皇の意向にしたがって祈ることによって一日に一度受けることができる。また免償は死者のために譲ることもできる。
パリ、サンシュルピス教会

※パリ教区の巡礼指定聖堂…Cathedrale Notre-Dame de Paris (4e), Basilique du Sacre-Coeur de Montmartre (18e), Notre-Dame des Victoires (2e), Saint-Etienne du Mont (5e), Saint-Sulpice (6e), Notre-Dame de la Medaille Miraculeuse (7e), Saint-Louis d’Antin (9e), Notre-Dame de Fatima Sanctuaire (19e)    以上8箇所。

■Jubile 2000 のロゴマーク…キリストのメッセージが全世界へ。青い円は地球を、組み合わされた5羽の鳩は諸民族の一致と5大陸を、十字架はすべての人の救いのために命をかけたキリストを、三本の線は三位一体を、十字架中央の光は世の光キリストを表している。Christus, Heri, Hodie, Semperの文字(あるいはChrist, Hier, Aujourd’hui, A jamais)は「キリスト・昨日・今日・いつも」の意(ヘブライ人への手紙13章8節参照)。