第十一回 聖ペトロ
教会暦
2月22日 聖ペトロの使徒座(祝日)
6月29日 聖ペトロ・聖パウロ(祭日)
名前について
名前…「ペトロ」はギリシア語で「岩」を意味する。彼は「バルヨナ」(マタ16:17)すなわち「ヨハネの子」(ヨハ 1:42)で、ヘブライ名はシモン。漁師としておそらくゼベダイおよびその子ヤコブ、ヨハネと仕事仲間であった(マタ4:21)と考えられる。イエスは彼 に「ケファ」という名を与えた。これはアラム語で「岩」を意味し、「ペトロ」はその同義語のギリシア語である。
天の国の鍵を受け取る聖ペトロ (Paris, Eglise St Germain-des-Pres) ※右画像
漁師
漁師…『イエスは、ガリラヤ湖のほとりを歩いておられたとき、シモンとシモンの兄弟アンデレが湖で網を打ってっているのを 御覧になった。彼らは漁師だった。イエスは、「わたしについて来なさい。人間をとる漁師にしよう」と言われた。二人はすぐに網を捨てて従った。』(マコ 1:16~18)。この出来事は洗礼者ヨハネの投獄後と想像される。ペトロはふたたび生活の場にもどっていた。おそらくイエスとはすでに面識があったであ ろう。イエスの死後「わたしは漁に行く。」(ヨハネ21:3)と言ったペトロを連想することができる。
権威
ペトロはイエスの一番弟子といわれる。主の変容(マタ17:1~13および平行箇所)やゲッセマネの祈り(マタ 26:37および平行箇所)などの重要な場面で、イエスは彼とヤコブ、ヨハネだけを連れている。イエス自身の任命(マタイ16:13~20)により、彼が 使徒団を代表するものであったことがわかると同時に、福音書および使徒言行録(1~12章)のペトロに関する記事の多さが、初代教会の中で彼が果たした役 割を暗示している。イエスの側近として、ペトロは自分の体験をすべて語ったであろう。裏切り(マタ26:31~35他平行箇所)・剣(ヨハ18:10)・ 赦し(ヨハ21:15~19)などである。
生涯
パレスチナのガリラヤ地方で漁師を生業としていたペトロは、イエスの弟子として新しい使命を果たした。紀元64 年~67年にかけて、ネロ皇帝下のローマで殉教したと伝えられている。キリストと同じ十字架刑は恐れ多いと、逆十字架刑であったという。現在バチカンのサ ン・ピエトロ大聖堂は彼の墓の上に建てられており、紀元120年にさかのぼるペトロの墓のしるしが見つかっている。彼の影響は、責任を持っていたパレスチ ナを始め、アンチオキア、ローマ、コリントのキリスト教共同体にもみられた。
象徴
「わたしはあなたに天の国の鍵を授ける。」(マタ16:19)というイエスの言葉に基づいて、ペトロ像は鍵を持った人物像 として描かれる。なお、この「鍵」は複数形であるため通常2本である。また、イエス受難の折り、ペトロが否認した際「鶏が鳴いた」という聖書の記述によ り、鶏に象徴されることも多い。
※右画像
天の国の鍵を受け取る聖ペトロ
(Paris, Eglise St Germain-des-Pres)
「聖ペトロの殉教」
L.Giordano-Eglise St.FrancoisXavier