第二十一回 修道会
「修道生活の父」…エジプトのアントニウス(3~4世紀)
共住修道生活の創始者…エジプトのパコミウス(4世紀)
キリスト者の共同体が修道会であるために、普通以下の三つの条件がある。
1 教会の認可…修道会は教会当局の認可を受けて初めて「修道会」となる。詳細は教会法の定めるところによる。
2 会則…歴史的に以下を四大会則という。
- バジリオ会則…聖バジリオは4世紀カパドキア(現トルコ東部)のギリシア教父(ギリシア語で著述した教父)で司教・教会博士。その会則は主に東方教会の修道院で採用され、東方教会では「修道生活の父」と称される。
- アウグスチヌス会則…聖アウグスティヌスは4~5世紀ヒッポ(北アフリカ)のラテン教父(ラテン語で著述した教父)で司教・教会博士。その会則を採用した修道会を総称してアウグスティノ会と呼ぶこともある。ドミニコ会などで採用。
- ベネディクト会則…6世紀イタリアの聖ベネディクトによる会則。中庸の生活を特徴とする。ベネディクト会、シトー会など西方教会の多くの修道会で採用され、規範となっている。
- フランシスコ会則…13世紀アシジの聖フランシスコの精神による会則。
これら四大会則に拠る修道会をordo(盛式誓願修道会)独自の会則に拠る修道会をcongregatio(単式誓願修道会)とよぶ。
3 三誓願…従順(心の奉献)・清貧(所有物の奉献)・貞潔(体の奉献)の誓願を三誓願といい、人間全体の奉献を意味する。会によって、更に特別の誓願を加える場合もある。
いくつかの修道会について
◎ ベネディクト会(Ordo Sancti Benedicti)…聖ベネディクトの創立によるこの会は、修道院に定住して「祈りと労働(知的あるいは肉体的)」の生活をする。修道院長を父とする修 道家庭共同体で、各修道院も自立している。フランスでは10世紀から大革命にかけてのクリュニー修道院が有名。
◎ シトー会(Ordo Cisterciensis)…11世紀末、会則への徹底的忠実を求めたベネディクト会員によってフランスのシトー(Citeaux)に新しい修道会が興 され、12世紀に聖ベルナルドによって基礎が固められた。この会を土地の名を取ってシトー会とよぶ。
◎ 厳律シトー会(Ordo Cisterciensium Strictioris Observantiae)…シトー会のLa Trappe修道院が17世紀に厳格な修道生活を目指して改革され、後にシトー会から独立した。沈黙・菜食・苦行・禁欲を厳守する。母修道院の名前からト ラピスト会(Trappistes)とも呼ばれる。
◎ ドミニコ会(Ordo Fratrum Praedicatorum)…13世紀に聖ドミニコによってトゥールーズに興された修道会。当時の異端カタリ派に対抗した。清貧と研学を特徴とする。
◎ フランシスコ会(Ordo Fratrum Minorum)…13世紀アシジのフランシスコのもとに集まった弟子たちの修道会。15世紀に厳格派のカプチン会と穏健派のコンベンツアル会が独立す る。清貧・愛徳・教育・宣教が特徴で、ドミニコ会と共に女子会(第二会)および信徒会(第三会)があり、托鉢修道会ともいわれる。クララ会は第二会。
◎ イエズス会(Societas Jesu)…16世紀聖イグナチオ・ロヨラとパリ大学の同士がモンマルトルで誓願を立てたのを契機に発足した新しいスタイルの司祭修道会で、宗教改革後の カトリック宣教の一線で活躍。「神のより大いなる栄光のために(Ad Majorem Dei Gloriam)」をモットーとする。