第九回 フランスの巡礼地 

パレルモニアル イエスの聖心のご出現  

Paray-le-Monial

 

小史

パレルモニアルは、10世紀、ブルバンスBourbince河畔に入植した最初の修道院を取り囲むように生まれた町である。以来、この町は1000年にわたるキリスト者の歴史を刻んできた。17世紀、キリストが聖母訪問会修道女、聖マルガリタ・マリアMarguerite-Marie (1647-1690)に出現し、人々への愛に燃える御心を啓示されたのはこの町である。

 「イエスの御心のメッセージ」は、徐々にキリスト者世界全体に広まってゆき、1873年以来今日にいたるまで、多くの巡礼者がここを訪れている。近年では1986105日の教皇ヨハネ・パウロⅡ世の訪問によって、パレルモニアルのメッセージが改めて広く意識されることになった。

メッセージ

かつて預言者エゼキエルは「私はあなた方に新しい心を与える」と言った。この言葉はパレルモニアルでは力強く響く。ご自分の貫かれた御心をお示しになるために来られた方は、ご自身がすべての人が近寄って汲み取ることの出来る憐れみの泉なのである。

「イエスのところに来てみると、既に死んでおられたので、その足は折らなかった。しかし、兵士の一人が槍でイエスのわき腹を刺した。すると、すぐ血と水とが流れ出た。それを目撃した者が証ししており、その証しは真実である。その者は、あなた方にも信じさせるために、自分が真実を語っていることを知っている。」(ヨハネ19章33~35節)

パレルモニアルでは、イエス・キリストはより近くにおられる。信じる人の生活は、父である神に向かい、聖霊に導かれ、ここで神、隣人そして自分自身との心からの和解の喜びを見出す。

聖心のバジリカLa Basilique du Sacré-Cœur

パレルモニアルの代表的建物。12世紀に竣工したこのロマネスク様式の聖堂はブルゴーニュ・ロマネスク芸術の傑作のひとつである。パレルモニアルの人々が小教区聖堂にするために買い戻さなかったなら、クリュニー系修道院の聖堂としてフランス革命の際に破壊されたはずである。

外側から見ると、ファサードは目を引く静かな単純さでそびえている。正面の壁にはめ込まれた小階段を上って玄関上のシャペルから望むと、高さ22メートル、長さ63,5メートルの素晴らしい内部空間に感嘆させられる。そこはで毎日、かつて修道士たちの歌う朝夕の聖務日課の声が響いていた時間に、光あふる場所なのである。

内陣のフレスコ画は14世紀のもので1935年に発見された。宇宙の王たるキリストが栄光の王座に座し、復活の勝利が招き寄せた人々を祝福している。1875年に聖心のバジリカとされて以来、この教会は小教区聖堂であると同時に巡礼者の聖地となっている。

バジリカの側面から出て建物の裏側にまわると、聖堂の後陣が目を引く。脇祭壇と屋根が鐘楼に向かって伸び、あたかも地が天に飛翔するかのようである。

聖ヨハネ案内所L'accueil Saint JeanM

バジリカを正面北側から出ると、右手に巡礼者案内所(開館:9時30分~12時、14時~18時)がある。ここではパレルモニアルのメッセージについてのビデオ上映や、聖マルガリタ・マリアと聖クロード・コロンビエールの資料館が整備されている。2階の聖ヨハネのチャペルでは毎日8時30分~19時の間聖体が顕示されており、訪れるすべての人と祈りをともにすることができる。

シャプレンの広場には、野外祭儀のための天蓋や大きなグループのための給食および受け入れ施設があり、マルガリタ・マリアの生涯についての一連のジオラマを音声解説つきで見学することもできるようになっている。

ご出現の聖堂La Chapelle des Apparitions

Rue de la Visitationを行くと、1673年~1675年にキリストが聖マルガリタ・マリアにご出現なさった修道院の聖堂に着く。フレスコ画(1966~1973年)は、キリストが五つの太陽のように燃えるご受難の傷をお示しになった2回目のご出現の模様を描いたものである。両側には、神の人間に対する慈しみ深い愛の火を、何が起ころうとも証しした聖人たちが描かれている。

内陣右側の小聖堂には聖マルガリタ・マリア・アラコクの聖遺物櫃を納めてある。ロウで覆われた聖女の遺骨が眠っている。これは1864年、マルガリタ・マリア修道女の列福以来のもので、1920年、彼女は教皇ベネディクトXV世によって聖人の列に加えられた。多くの巡礼者が聖女の傍らで取次ぎを祈りに来る。人間を罪と死から救うために命さえささげてくださる神の愛を、より豊かに心に受け止めるためである。

聖コロンビエール聖堂La Chapelle de la Colombière

クロード・ラ・コロンビエール神父Père Claude la Colombière(1641~1682年)は、聖マルガリタ・マリアの霊的指導司祭だった若いイエズス会士である。1930年、列福を機に、聖母訪問会から300メートルの場所に聖堂が建てられた。「キリストの忠実な僕、完全な友」であるクロード・ラ・コロンビエール神父がパレルモニアルに派遣されたのは、聖マルガリタ・マリアの受けた啓示の真実性を評価するためであった。彼は聖母訪問会の傍らでのイエスの御心のメッセージを広く伝えるにあたって、欠かすことの出来ない働きをすることになった。

迫害と投獄を経験したイギリスでの短期滞在の後、コロンビエール神父は1682年、パレルモニアルでその生涯を閉じた。教皇ヨハネ・パウロⅡ世によって列聖されたのは1992年のことである。

記念聖堂はネオ・ビザンチン様式から着想を得て、巨大なモザイク、多彩な柱頭、1930年代のスタイルを反映した具象的ステンドグラスで飾られている。中央の大モザイクは1688年7月2日のご出現によるもので、イエスがマルガリタ・マリアに聖母訪問会員とイエズス会員は世界中に聖心の信心を広めるために選ばれたと告げている。

内陣左側の脇祭壇には聖クロード・ラ・コロンビエールの聖遺物が納められている。彼の横臥像のもとに保存されている遺骨が認められる。 (HP解説抄訳)

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